自由に、クリエイティブに、仕事の仕組みを作っていく
田中 健太さん 平成26年度電気電子工学科卒業
頑張らなかった学生時代
正直なところ当時は勉強から逃げたいという気持ちもありましたが、これ以上学校という場所で学ぶことが自分の成長にとって最善か…と考えた時にそうでは無い気がしたのが、高専から直接就職した理由です。
高専5年間の中で最も今に活きているのは、「自分は非常に怠け者だ」と本当の意味で理解したことです。当時の私は、高専の同級生のみんなは真面目に学生生活に励んでいてすごいな…と横目に思いながら、留年しないギリギリで出来るだけ頑張らないことを頑張るような学生でした。そんな私でも将来に対する危機感はあって、このまま何の意志もなく大学に行っても遊んで終わってしまうリスクの方が高いので、自分を律するためにも就職の方が良いだろうと思ったのです。
設計された仕組みの中で働くよりも、仕組みを作る側に回りたかった
実際に就職してみると、自分でも驚くくらいに私は真面目に働いていました。
なぜだろう…と考えた時に学校と明らかに違ったのは、会社には社員個々人の能力やモチベーションに関係なく一定の成果を生み出すような「仕組み」が設計されていたことです。私は運良く新卒でいわゆる大手と呼ばれるような企業に就職できたのですが、そのような比較的大きい会社では労働者を取り巻く様々なことが高度に仕組み化されています。分かりやすい例だと、学生の間は与えられた課題を「いつ」「どこで」「どうやってやるか」だけでなくそもそもやるかどうかすら自由なので、私のように遊んでばかりの学生も存在が許されました。しかし多くの企業では、社員は決められた時間に出社して、勤務時間は会社に隔離され、社内のあらゆる掟に従って逐一上司に確認をとりながら目の前の課題に取り組みます。このような環境ではむしろ働かない方が難しく、それでも働けない人は行く宛がない...という、マイルドなディストピアが社会人としての当たり前として受け入れられています。
このことから得られる学びは、私のような怠け者でも成果を出すには何より仕組みが大事…ということですが、それ以上に思ったのは、そういった仕組みの中では仕組みが生み出す「一定の成果」以上の成果は挙げられないのではないか…ということです。なので、仕組みを「使う側」ではなく「作る側」にまわってみたい…と思ったのが、私が今の仕事に移った理由です。
仕組み化するのは面白い
現在は、顧客企業さまの新規事業立ち上げ支援を担当しています。具体的には、顧客企業さまのお客さま(エンドユーザー)に対してどのような「仕組み」で価値を提供していくか(ビジネスモデル)を顧客企業さまと一緒に検討したり、実際にその仕組みを実現するためのソフトウェア開発も行っています。
また最近は、そういったお客さまに提供する仕組みの構築だけでなく、それ自体を提供する社内の仕組みを考えたりするのにもハマっています。メンバーのタスクはどうやって管理したらいいか、組織の構造はどうしたらいいか…など考えるべきことは絶えないので、日々ひたすら仕組みを考えるのが楽しいです。
それらの仕事はPCさえあればどこでもできるので、在宅勤務はもちろんのこと、海外旅行に行きながらスキマ時間で作業するなど、とても自由かつクリエイティブに働いています。
PCを持ってどこででも仕事ができる。写真はタイのプール付きホテルでくつろぎながら。
仕組みを見つめて、本質を考える
皆さんは、世の中がどのような仕組みで回っているのかについてどのくらい知っているでしょうか。日々の授業や課外活動でも、それらがどのような仕組みの中で回っているのかに目を向けてみると、また違った世界が見えるかもしれません。
(2022年11月30日掲載)