自動車好きから燃焼の研究者へ
山崎 拓也さん 平成23年度機械工学科卒業
高専を選んだ理由を教えてください
中学生のころに数学と理科が好きだったことと、自動車を製作する部活動を学校見学で知り、興味を持ったからです。機械工学科を選んだのは自動車に関わりが深いと考えたからです。
高専生活を振り返って,印象に残っていることはありますか?
エコノパワー部に入部して、モノづくりや工学、科学が好きな仲間と競技車両製作を行ったことです。製作する車両の性能をどうしたら向上できるか、車両のテスト中に故障や破損がなぜ発生したか、多くの課題に取り組む中で、根本的な原因を明らかにする工学や物理に魅了されました。持っている工学や科学の知識を使い、仲間と問題解決のための議論を夜遅くまでしていたこともあります。マニアックな仲間が多かったので、学科とかは関係なしに、「何でそんなこと知っているんだ」と思ったことがよくありました。 5年間も濃密な部活動を経験したため、工学・科学の広い基礎知識を学びました。ここで学んだ知識や難しい問題を対処する力は今の自分を支えています。
今の仕事・生活でのエピソードを教えてください
現在、取り組んでいる研究の一つは、「くん焼」と呼ばれるタバコや線香でみられる火炎を伴わない燃焼現象です。ろうそくやガスコンロの火では息を吹きかけると火の勢いが衰え、吹き飛んで消えてしまいますが、「くん焼」では逆に息を吹きかけることでより強く燃えるようになります。この「くん焼」が燃えることができる限界条件を明らかにすることに取り組んでいます。
「くん焼」の研究に携わり始めてから4年ほどになりますが、分からないことが多く日々苦心しています。これまで、高専時代の経験を活かし、実験によって「くん焼」の燃える限界の観察に成功しました。現在は、実験で観察された現象を論理的に説明することに取り組んでいます。高専時代にもう少し勉学にも力を入れていれば良かったと感じています(笑)。
後輩や高専を志望する中学生に伝えたいことはありますか?
自分の趣味や好きなことの中で、創作活動(何か作ること)を経験してほしいと思います。実物の物を作らなくても、例えばプログラム、曲作り、動画制作なども創作です。始めは上手く作れないと思いますが、自分の手や頭を使って作ることが大切です。創作活動を行うことで、自分で問題を解決する力が自然と身につきます。高専や大学は、そういった自分で問題を解決する力を鍛える場所だと思っています。
(2021年1月掲載)