学生生活をデザインするということ
大橋 匠さん 平成23年度電気電子工学科卒業
高専を選んだ理由
入試の面接で「将来の夢は地球温暖化を解決すること」と言った記憶があります。自然豊かな信濃町で育ち、環境問題に自然と興味が湧きました。その当時は、あまり深く考えていなかったかもしれませんが、太陽光発電などの「技術」に対して大きな期待を抱いていたこともあり、電気電子工学科を選択しました。
高専生活を振り返って
とても自由な雰囲気の中、専門分野だけでなく、部活(バドミントン部でした)や英語スピーチコンテスト、国際交流やボランティア活動など、様々な興味関心に手を出すのに十分な時間と機会がありました。
また、クラスメートと濃密な時間を過ごすことができました。高校は3年間ですし、ほとんどの大学はクラスルーム制をとっていませんので、それらと比較すると、人生スパンで関わり続ける友人や先生を得る機会になると思います。
卒業後と現在の状況
卒業後は、東京工業大学工学部電気電子工学科に3年次編入しました。現在は同大学環境・社会理工学院の助教を務めています。
これまで、電気の研究に携わりながら、「技術」に対する社会の期待の大きさに触れました。それと同時に、使われない「技術」には意味がないということも肌で感じました。技術による手助けが求められる分野がたくさん世の中にある一方で(介護、農業、教育…)、では、具体的に社会でどのような技術が必要なのか、技術を社会(人々)はどう使うと良いのか。そのようなことに研究の関心事が変わってきました。電気電子工学科から想起される分野とは一見離れているようですが、技術に対する基礎を長野高専と東工大で固めることが出来た今、技術と社会を橋渡しできるような研究者になりたいと思っています。
静岡県掛川市・柴田牧場様における酪農体験(例えば、酪農現場におけるIoT技術普及について研究しています)
後輩や中学生に伝えたいこと
高専では、中学卒業直後から各々の専門を学び、その分野には強くなるけれど、将来の選択肢の幅が狭くなりそうというイメージをお持ちの方も多いと思います。しかし、私にとって高専生活は、様々な分野に挑戦するための自分の軸や強みを得るきっかけになりました。様々な分野に手を出すと、つまみ食いになりがちですが、自らの基盤や立ち位置を固めはじめる時間になったと思います。
学生時代は自由にデザインできます。皆さんがほぼノーリスクで選べるし、決められます。ただし、自ら動かなければ何も手に入らないかもしれません。自らを律して、自発的に動くことは、時に、とても難しいことだと思います。でも、もし、ワクワクすることや、やってみたいことがあれば、どんな内容でも、声を上げて、仲間を見つけて、取り組んでみてください。自分の軸を確立しながら、何か新しいことに挑戦するには十分な時間と土台が、高専にはあると思います。
(2019年2月掲載)