類は必ず友を呼ぶ
水島 歌織さん 平成26年度電子制御工学科卒業
高専を選んだきっかけ
高専への進学を考えたきっかけは兄でした。もともと私も工作やものづくりが好きで、ロボット義手など直接人の役に立つ技術への憧れもありましたが、普通高校へ行って大学へ行って就職して…と漠然と考えていました。しかし、毎日充実した高専生活を送り、エンジニアという目標に着実に近づく兄を見て、高専へ行けばただの憧れだったものも実現できる、そう思い入学を考えました。
類友に出会いました
きっかけは、2年生の時、数学の授業であった「学びあい」でした。講義ではなく、与えられた課題を自力で、あるいは周りと協力して解くことで身につけていく、という形式の授業です。この授業で私は、これまであまり関わりのなかったクラスメイトとも沢山議論をしました。そのうち、授業のたびに集まるメンツができました。授業後も後ろの黒板で議論をしたり、しょうもない話題で盛り上がったり(「バタコさんのあんパン投擲能力に関する考察」とか笑)。それからいつの間にか、似たような話題で似たような感覚で盛り上がれる仲間が集まりました。研究室に配属されたあともたびたび集まっては研究談義に花を咲かせました。「なるほど、これが『類は友を呼ぶ』ということか」と、納得しました。
ばらばらに進学・就職しましたが、今でも年末に集まったり、ネット経由で雑談したりしています。自分が行き詰って疲れたときには元気をもらえます。再会して近況報告しあうと、みんなそれぞれに成長しているのを実感します。そのたびに、私ももっとがんばろうと思えます。そんな彼らに会えたことが高専生活における一番の宝物です。
与えられたチャンス、活かすか殺すかは自分次第
大学の研究室にて、毎日楽しく研究・学業に励んでいます。社畜ならぬラボ畜と言われたこともありますが(笑)。昨年はいくつかの国内・国際学会にて研究発表し、研究に関する賞と畠山賞をいただきました。これらの受賞には、いつも相談に乗り全力でサポートしてくれる先生方や、大きなチャンスを与えてくれる担当教員の支えがあります。このチャンスを活かすか否かは、自分次第です。高専進学以降、毎日勉強をして好きな研究ができることが如何に恵まれているか自覚して以来、今しかできないこと、目の前にある可能性は最大限に活かそうと、日々努力をしています。
学会で訪れたバンクーバー。凪いだ内海が鏡のようにビルの群れを映す。
高専を選んだからといって、道はひとつじゃない
私が進学希望に高専を挙げたとき、一部の人に言われたのは、「この先の進学も就職も、工業分野に絞られる」ということでした。技術者になってこの分野で食っていくことになる、本当にいいのか、と。当時の私はこの言葉で心が揺れました。ものづくりへの憧れはありましたが、15歳で一生携わる分野を決めることへの不安があったのを覚えています。
いざ高専に入学して分かったのは、道は決してひとつじゃない、ということです。3年で違う学校へ行く人もいます。大学に編入して、そこからまったく違う分野の研究をしている人もいます。高専を選んだからといって将来のつぶしが利かなくなるなんてことはありません。もし、高専へ進んでやりたいことがあるけれど将来が不安、高専に入ったはいいけどこの先どうしよう、という人がいたら、遠慮なく先生や在学生・卒業生に聞いてください。「将来の自分の姿」として、沢山の可能性を示してくれるはずです。
(2018年1月掲載)